世界樹妄想SS第二段。ネタです。
樹海の中、歩いてる際に出くわした魔物たちを冒険者は楽々に打ち倒す。
この辺りはすでに何度も通った冒険者たちにとって、道中現れる魔物は極一部の要注意モンスター、FOEと呼ばれるそれ以外は敵ではなくなっていた。
「――わたしの出番、ですね!」
戦いが終わり、白衣を着た少女、パーティの治癒役たるメディックは意気揚々と前に出た。
『博識』――倒した魔物から、持ち帰ると店で売れたりするアイテムを他の冒険者より高確率で得る事が出来るスキルを持つ彼女は、魔物の皮や爪を得ようと魔物の死骸へと一歩踏み出した。
しかし、
「――ねぇ、その前に戦後手当てしてくれない?」
仲間のガンナーが、踏み出した彼女の後ろから要求した。「あ。」とメディックは足を止めて振り返る。
『戦後手当て』――戦闘終了後に、TP消費無しで仲間全体を小回復する能力だ。敵を倒す前に、魔物の一撃が掠ったらしく、服の右手の袖が軽く切れていた。
「え? あ、は―」
頷こうとした所、他所から遮る様な別の声がかかる。
「それよりキュアしてくれ。いい加減ダメージ重なってきたぜ」
斧を担いだソードマンだった。
よく見ると全身小さな傷が一杯だ。ここらが雑魚ばかりとはいえ、全滅させる前に受けた攻撃が沢山ある。
無言であるがパーティの守護役の聖騎士も良くみれば傷だらけだ。
「は、は、はいっ。え、えと、ちょっと待って」
戦後手当てしてキュアして―。あちこちから来た様々な要求と、博識スキルのある自分が魔物から素材アイテム取らなければと、メディックは焦って、皆を見渡した。誰からどう治療するべきかと。
大柄なパラディンがのそっと動き出し、助け舟を出した。
「魔物の方は俺が漁っとくさー。後で確認ヨロシクー♪」
あせるなあせるな。カッカッカ。なんてつけたしながら、魔物の傍で腰を降ろして漁りだす。
「え、あっ。ありがとうございます。……うー。」
慌ててお礼を言ったが、眉が逆八字に下がって、申し訳なさげな、ちょっと不満げな顔をするのだ。
パーティの治癒役たるメディックにとって、弱い魔物との戦いは暇なのだ。だからと言って、戦闘で忙しくなる様な危険な魔物との戦いは、出来うる限り避けるべきではあるし。
そんな自分が、せめて戦いの後は役に立とうと張り切ったのに、追いつかずに迷惑をかけてしまった。
「オーイ、早く治してくれよ」
「は、はいっ!」
しょんぼりしている所、ソードマンが声を大きく上げ、メディックが彼に歩み寄った。
メディックの戦後手当て+博識ってやたらと忙しそうだよねってネタ。
どちらかというと4コマネタな気がする。
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